コラム:マレーシアの回転寿司と日本人実業家
(03年12月26日配信 同31日改訂(ウエブログ@plalaの「日本の寿司」)へのトラックバック追加)
シンガポール在住の方が発信するQuatro を読んでいたら、シンガポールの回転寿司屋についてのコラム「LOVE☆WASABI」が目にとまった。
基本的にマレーシアもだいたい同じ。店の様子は、Quatroで非常に上手に紹介されている通りなので、マレーシアの回転寿司チェーン店について紹介したい。
マレーシアで最も有名な回転寿司店は、Sushi King(スシキン)である。クアラルンプール市内だけでも、大きなショッピングセンターには必ずあるようなお店。このところ、地方にもかなり進出している。私も、1,2度試したことがある。廻っているネタは、主に、巻物が多い。巻物の値段は、一皿だいたい2リンギとかその程度(1リンギ=約28円)。
マグロなどの生魚を使ったものは多くはない。その理由として考えられるのは、1.生魚が食べられない人がいる、2.どうしても値段が高くなる、といったあたりだと推測される。熱帯だから痛みやすいという理由もあるかもしれないが、高級日本食店では、刺身やマグロの寿司などは、ごく普通にだされているからあまり主要な理由ではないと思う。
このスシキンが狙う客層は、地元の人たちで、店を見た限りでは、若い人が多い。国立大学新卒初任給が2000リンギ(五万六千円)に到達すればかなり幸運という給与水準なので(普通は1600リンギ程度)、高い食材を使ったのでは、あまりお客さんも来ないのであろう。また、若くはない人でも、ごく普通の人の収入というのは、日本人に比べれば多くはない。物価水準は安いが、本格的な日本食となると、日本で食べるのよりは、ちょっと安い、という程度。平均的な収入のマレーシア人にすれば、ちょっと手が届かない。
もしも、マグロなどの高い食材を使ったとしても、マレーシアに住んでいる日本人は、和食の専門レストランで寿司などを食べるので、日本人客もあまり見込めない。スシキンの巻物中心のアプローチは、極めて現実的で、かつマーケットを良く理解していると言えるだろう。
日本人の中には、「スシキンなんておいしくないよ」とか「寿司じゃないよ」という人たちもいるが、スシキンのそもそものターゲットグループを考えれば、的はずれな言い方ではないかと思う。現に、スシキンは、いいペースでコンスタントに店舗数を増やしている。これはスシキンがローカルを対象としたビジネスとして成功していることの証拠ではないだろうか。
スシキンに来るマレーシア人のお客さんたちにとっても、本格的な寿司は高くて食べにいけないけども、スシキンならば、手軽にそこそこの寿司を楽しめる、という感想があるようだ。実際に、マレーシア人の友人はそう話していた。
ちなみに、このスシキンのオーナーは、日本人実業家の小西さんという方。このところ、マレーシアの新聞や雑誌でのインタビューをよく見かける。若い頃にマレーシアに来られて、裸一貫で事業を立ち上げて、今では、かつて「東洋の真珠」と呼ばれたペナン島に素敵なお屋敷を構えていらっしゃる。小西氏の事業で、スシキン以外の有名なものは、「フマキラー」。日本でも耳にしたことがあると思う。蚊取り線香や蚊取りマットである。年中30度を越すのが普通のマレーシアでは、当然、蚊も出る。特に、一般のマレーシア人家庭では、蚊の対策はとても重要。こちらも「スシキン」に続いて、ローカルの需要を見事に当てて成功した事業の例の一つだと思う。このほか、小西氏は、Dato' Seriという各州が与える称号の中では最高ランクの称号を授与されたこともあり、現在では、マレーシア経済界の著名人の一人となっている。「スシキン」や「フマキラー」の例のように、マレーシアの人々が何を求めているのか、それを追求したからことが成功につながったのではないかと思う。マレーシアに関心を持つものとして、この視点はとても勉強になる。このほか、小西氏は、オーケストラの育成にも力を入れて、マレーシアのオーケストラMPOの支援もされている。日本の方が地元に根ざして活躍され、成功している姿は、とても嬉しい。
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